菊の育て方

How to grow chrysanthemum

How to grow a chrysanthemum

きれいに咲かせたい

菊は、趣味家向けの観賞菊(大菊)や、地方で発達した嵯峨菊・肥後菊などの古典菊、切花として使用する大輪菊・中輪菊・小菊、またヨーロッパで発達した小さな花がたくさん咲くスプレーマムなどがあり、花の大きさもさまざまです。花型も一般的にイメージされる一重咲き以外に、ポンポン咲きやアネモネ咲き・デコラ咲きなどかわいらしい花もたくさんあります。さらに菊は、開花の季節の幅も広く5月咲き~1月咲きまであり1年中楽しむことができ、咲く季節により夏菊、夏秋菊、秋菊、寒菊といったように分類されます。また、東北地方に見られるように食用で使われる菊もあります。
最近ではプランターや花壇でほかの花といっしょに楽しんだり切花として使ったりする方も多くなっています。ここでは、当店でもっとも取り扱いの多い秋咲きの小菊・スプレーマムを例に菊の育て方を解説していきます。

基本的な菊苗の育て方

1.用土の準備

菊の培養土は水はけ・水もち・肥料もちのよいものを選ぶ必要がありますが、鉢植えであれば市販の菊専用の用土を使用すればお手軽です。

比重の重い赤玉土や赤土など粘土質の土壌が入ったものを使用するとよいです。万能用土で販売されている、ピートモスや腐葉土などが主体の比重の軽い土は菊の栽培にはあまり適していません。

2.定植

ポットから苗を出し、根が長く伸びているときは適度に切り詰めて6~9号ほどの大きさの鉢や、プランターなどに植替えます。8~9号の大きめの鉢なら、1鉢に3株ほど植えても大丈夫です。

土をかぶせるときは、あとで増し土を行えるよう少し余裕をもって被せるとよいです。土をかぶせたら、指や棒などで土を押さえていきます。その後、たっぷり水をあげて用土を落ち着かせます。

3.1回目の摘芯

植え替えたあとに苗が10cm程度まで生長したら、芽先の先端を1cmほど摘み取ります(摘芯)。

摘芯は成長点のある茎の先端を指先などで小さく摘むとよいです。摘芯して20日くらいすると、葉っぱと茎の間から側枝となる脇芽が出てきます(分枝)。よく肥料が効いていると、脇芽が比較的多く出ます。あまり側枝を出しすぎると花つきが悪くなることがあります。脇芽が10cm以上になったら、芽の揃ったものを残して他のものを取り除きます。

4.2 回目の摘芯

側枝が十分に育って4~5枚葉がついたら、それぞれの側枝に対して2回目の摘芯を行います。 カーペットマムやガーデンミリオンマムなどはお好みで3回目以降の摘芯を行ないます。最後の摘芯は開花の2ヶ月前を目安に終えてください。
側枝が多くなりすぎたときは、茎の弱い枝などを適度にすきます。側枝の本数が多くなりすぎると、花の大きさが小さくなるので注意が必要です。

5.支柱立て

側枝が伸びてきたら、茎が倒れないように支柱を立てます。支柱は60~80cmのものを5~6本ほど用意します。苗の外側にバランスよく支柱を差て、ひもなどで輪囲いをして固定します。

6.蕾の手入れ ~ 開花

花を一輪で大きく咲かせたい場合は、芯についている蕾と予備の蕾を残して全て摘み取ります(摘蕾)。

スプレー菊や小菊のように花をたくさん咲かせるものは蕾を摘み取る必要はありませんが、花が多くなりすぎて見映えが悪くなるような場合は、バランスよく蕾を摘み取るとよいでしょう。

用土の準備

菊の培養土は水はけ・水もち・肥料もちのよいものを選ぶ必要がありますが、鉢植えであれば市販の菊専用の用土を使用すればお手軽です。比重の重い赤玉土や赤土など粘土質の土壌が入ったものを使用するとよいです。万能用土で販売されている、ピートモスや腐葉土などが主体の比重の軽い土は菊の栽培にはあまり適していません。

  • さし芽用土

基本的に無菌。無肥料で水はけ水持ちがいい適当な用土なら、大抵の物が使えます。市販のさし芽用土が便利ですが、使い慣れた好みの用土も使えます。赤玉土小粒単用、バーミキュライト専用、赤玉土小粒5、バーミキュライト5の割合で混合土を使用する例もあります。

避けたほうが良いのは、雑菌が心配される用土や水はけがあまりよくない用土です。一度使った用土は腐葉土の養分を加えていることが多く、雑菌が発生しやすくなっているので避けましょう。さし芽用土は、1~2時間前にたっぷり水やりをして用土を落ち着かせておきます。

  • 市販のキク用土

安全で簡単なのは、市販の菊用土を利用する方法です。堆肥や腐葉土などを配合し、菊の生育に良い用土になっています。メーカーによって配合は多少違い、なかには元肥の肥料まで入れてあるものもあります。

一般に使われている緩効性肥料は、2か月ぐらい効力があるため、入手時に配合比等をよく確かめておきましょう。

  • 市販の草花用土

洋菊などは、一般の菊より水もちが良い用土が適しているので、市販の草花用土に堆肥や腐葉土などを20%ほど混ぜたほうが、結果的によいようです。

  • ゴロ土

水はけを良くするために、鉢底などに入れておく用土です。鉢土より一回り大きい粒が基本で、用土が赤玉土小粒なら中粒、中粒なら大粒といった使い分けをしましょう。土粒は崩れていくので、崩れる心配がない軽石でできたゴロ土も、市販されています。

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肥料の基礎知識

菊は肥培するので、一般の鉢植えなどより多くの肥料が必要です。

元肥(もとごえ)
植え付けのとき、用土に混ぜ込んでおく肥料です。肥効が長く続く緩効性の化成肥料がお勧めです。根と肥料が直接触れると障害を起こす恐れがあるので絶対に間土を入れておきましょう。

置肥(おきごえ)
生育中の肥料切れを防ぐために用土に混ぜる肥料です。置肥をしたら、用土をかぶせるか、または軽く混ぜあわせましょう。

追肥(ついひ)
液肥は、速効性がある化成肥料です。置肥だけでは不足する養分を補ったり、急速に肥培したいときなどに多く使われます、また、摘芯の前にも使用します。表記されている成分配合を参考に、育成期にはチッソ分、開花期にはリン酸分の多い液肥を使用するといいです。また、液肥は濃すぎると肥料障害となり、薄すぎると効果が薄まるので薄めるときには正確にしましょう。

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水のやり方

水やりは植物を育てるうえで重要な作業であり、水のやり方によって植物の生育に大きな差が出てきます。水やりの基本は「たっぷり水をやって、乾くまで待つ」です。特に苗の植え付け時には、排水孔から水が出てくるぐらいの水をあげ、鉢土が乾くまで何日でも待ちましょう。そうすると、水が乾いた後に空気が入り根に酸素が吸収されて根が生長しやすくなります。

これは菊が生長しても同じで、はじめは3日おき、その後は2日おき、そして毎日と頻度が多くなってきます。このときも、基本の「たっぷり水をやって、乾くまで待つ」を忘れないようにしましょう。また、水やりを行うときに苗の頭からかけないように注意することが大切です。芽先を傷めたり、茎葉が病気になる恐れがあるからです。

現在は透水剤や吸放水剤、感温性水分調整剤も開発され販売しているので根詰まり等で悩んでいる場合は試してみましょう。

時期による水管理

  • 冬季は1週間に一回を目安に!

冬は冬至芽が伸びず休眠状態なので蒸散量もすくないので1週間に1回ぐらいで大丈夫です。しかし、完全に乾いてしまうと枯れてしまうので気をつけましょう。また、寒い地域では夜間に凍結する恐れがあるので暖かい日の日中にあげましょう。

  • 暖かくなったら基本に忠実に!

3月上・中旬あたりから、冬至芽が動き始めるので「たっぷり水をやって、乾くまで待つ」というやり方で水をあげましょう。

栽培のポイント

Cultivation Points

育てる際の流れは以上となりますが、ほかにも注意するときれいに菊を咲かせるポイントがありますのでご紹介します

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  • 肥料

肥料は比較的安い化学肥料と、油かすや魚かすなどが入った有機肥料があります。元肥として化学肥料を使用するときはゆるやかに長期間効く緩効性肥料を選び、有機肥料を使用するときは根や葉に障害が出ないよう準備として1~2週間前から油かすや魚かすなどを用土に混ぜ込みます。
化学肥料の置肥は適量を1ヶ月に1回ほど施します。液肥は速効性でよく効くので1週間に1回ほど、旺盛に育てたい場合は2~3回水のかわりに施してください。開花の2ヶ月から2ヶ月半前に止め肥をしてください。

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  • 病気・害虫対策

菊がかかる病気は代表的なもので「白サビ病」や「うどんこ病」などです。また、菊につく虫では「アブラムシ」と「ハダニ」がよく見られます。害虫は3月頃から現れ、季節によってつく虫の種類や数もいろいろです。発生してからの薬剤散布では不十分ですので、日光によく当て風通しを良くし、チッソ過剰にしないよう元気に育てて予防防除につとめます。
病気・害虫対策の薬剤は、殺菌剤と殺虫剤を1ヶ月に1回目安で散布します。8月になると、高温になり病原菌は休眠状態になりますが、ハダニが発生し始めるので殺ダニ剤を殺虫剤に混ぜるようにします。
また、同じ薬剤をくり返し使用すると抵抗性がつきやすいので、何種類かの薬を用意して交互に使用することが大切です。

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  • 冬越しの方法

菊は耐寒性があるので越冬することができます。花がおわってそのままだと病気などの原因になるので、茎を15~25cm残して切り戻します。一回り大きめの鉢に植え替えてお礼肥えを施します。置き場所は風通しがよく、霜や雪などを防げる軒下などがオススメです。水やりは週に一回程度、晴れた日の午前中に行なってください。
2月中旬から3月上旬頃に、株の周りの土の表面から小さな芽がでてきます(冬至芽)。株分けする場合は、親株の病気を引き継がないようなるべく親株から遠い苗を選びます。また、長く伸びている苗も活着が悪いの避けてください。

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